2020年8月10日
あらゆる健康増進に関する学術雑誌として近年注目が高まっている学術雑誌Healthcare(IF:インパクトファクター1.916)に原著論文がアクセプト受理(2020年8月10日付け)されました。
本論文はがん治療における摂食嚥下障害と口腔関連自己効力感(口腔の機能に関するやる気のような概念)との関連性を検証することを目的とした観察的横断研究です。
がん治療では手術、化学療法や放射線治療など多岐にわたる治療方法を組み合わせて行います。その中で、摂食嚥下機能の低下をきたす有害事象(副作用)が少なくありません。従来の研究では、医療者による客観的な摂食嚥下機能評価がリハビリテーションを行ううえで重要視されていました。一方で、本論文では、患者さんの主観である自己効力感(やる気)が嚥下機能に大きく影響することを証明しました。
すなわち、我々医療者が「食べられる」と評価した食べ物と、患者さんが「食べたい、食べられそう」と感じる食べ物を一致させる努力をすべきであることを指摘しました。
本研究ががん治療のつらい副作用に悩む患者さんの一助となることを願っております。
今回の研究でも、共同研究者の管野貴浩教授、狩野正明講師には手厚い指導いただきました。
この場を借りて、深謝申し上げます。
引き続き、島根大学医学部歯科口腔外科学講座の一員として口腔医学の発展に寄与できるよう、多くのエビデンスを発信していけるよう努力して参る所存です。
助教 松田悠平